vivo X100 Proをタオバオで購入
vivo X100 Proは2023年11月21日に発売された、同年最強カメラ性能を誇る可能性を秘めたフラッグシップモデルです。
発売時の価格は4,999CNY。日本円にして10.3万円です。(2024年1/16日時点のレート)
私は12月初頭あたりにvivoタオバオ公式ストアで購入。公式ストアですので、購入価格は4,999CNYそのまま。Aliexpressのように公式価格よりも高価格で買う必要はありません。
送料が1,993円ほどかかるため、合計すると10.6万円程度で購入することができました。
これはジンドンやAliexpressよりも安く、さらにvivo公式ストアから購入できて配送も速いという隙の無さ。
(vivoは2年ほど前の爆発事故により、ジンドンでは日本に配送できません。Aliexpressにはそもそもvivo公式ストアはありません)
買ってから届くまでは1週間ちょっとで届いたため、配送スピードも申し分ないでしょう。
私は今までAliexpressかジンドンのどちらかを使っていましたが、今後は全てタオバオで買おうかなと思うくらいに素晴らしいサービスでした。
vivo X100 Proのカメラスペック
メインカメラ | ・23mm ・IMX989 ・50MP ・1/0.98インチ ・1.6μm (4in1→3.2μm) ・F1.75 ・1G+7Pレンズ ・FWC 12,000e- (4in1→48,000e-) ・全画素PDAF (Octa PD) ・Multi-ALDコーティング |
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超広角カメラ | ・15mm ・ISOCELL JN1 ・50MP ・1/2.76インチ ・0.64μm (4in1→1.28μm) ・F2.0 ・FWC 6,000e- (4in1→24,000e-) ・PDAF (Double Super PD) |
ペリスコープ | ・100mm (4.3X) ・OV64B (クロップ) ・50MP ・1/2.51インチ ・0.7μm (4in1→1.4μm) ・F2.5 ・ZEISSフローティングレンズテレマクロ ・FWC 4,500e- (4in1→18,000e-) ・PDAF (2×2 ML) ・ZEISS APO認証 |
vivo X100 Proのカメラ構成はメインカメラ / 超広角カメラ / ペリスコープ望遠カメラの三つ。
メインカメラにはX90 Proから引き続き、IMX989を搭載しています。
今では「LYTIA LYT-900」が出てしまったため、IMX989は既に型落ちです。
とはいえ、IMX989が今でもトップレベルのスペックを持つイメージセンサーであることに変わりはありません。
加えて、X100 Proのメインカメラは新世代の複合多層ナノクリスタルコーティング(Multi-ALD)と、IRカットフィルタスピンコーティングでレンズの反射率を低減しています。
(IRカットフィルタとは、赤外線の透過を防いで画像の赤みを抑制するものです)
また、いつも通りZEISS T*コーティングも施され、さらに独自のレンズ光学調整によって画像端の解像度は20%向上しました。
超広角カメラは特に面白みがありませんが、前世代機であるvivo X90 Proの12MPセンサーに比べればだいぶ良くなっています。
X100 Proの最大の特徴は、やはりペリスコープでしょう。
使用するイメージセンサーはOV64Bですが、50MP 1/2.51インチにクロップされています。
レンズはF2.5でそこそこ明るく、ZEISS APO認証による色収差制御とZEISS T*コーティングを施し、フローティングレンズテレマクロにも対応。
光軸を曲げるプリズムとイメージセンサーの間にあるレンズを動かすことでピントを調整し、最短18cmまで接写撮影が可能です。
最後に、画像処理チップはvivo独自の「V3」を搭載しています。
評価に用いる用語の解説
今回のレビュー記事で使用する用語について軽く解説します。
用語について把握しておくと、この記事の内容をもっと深く理解することができます。
既にご存知の方はこの章を飛ばしてください。
ディティール
カメラの評価基準における「ディティール (日本語で “詳細”) 」は、被写体の細部をどれだけ忠実に再現できているかを指します。
似た意味を持つ言葉に「解像感」がありますが、これは被写体の細部を捉えるといった意味よりは、写真が鮮明に見えるか否かを表す言葉だと思っています。
ディティールよりも感覚的な評価基準であり、人によって解像感の感じ方には差があります。
ノイズリダクション
ノイズリダクションとは、写真に写りこんだノイズと呼ばれる不要な情報を除去または目立たなくする処理のことを指します。
ノイズリダクションを行うことで写真のノイズが目立たなくなりますが、一方でディティールが下がってしまうデメリットがあります。
あまり強くノイズリダクションをかけすぎると、ディティールがグチャグチャになって画質が落ちます。
シャープネス
写真におけるシャープネスとは、写真に写る被写体の輪郭線がどれだけくっきりと表現されているかを表す指標です。
シャープネスが高い写真では、被写体の輪郭線が明瞭で、エッジが強調されています。
一方、シャープネスが低い写真では、被写体の輪郭線がぼやけていて、全体的に柔らかい印象を与えます。
シャープネスの扱いには注意が必要で、あまりに強く かけすぎると、輪郭がクッキリとしすぎてジャギーで不自然な写真になります。
ちょうどよいシャープネスは写真全体の解像感が高まり、写真を見た時に鮮明な印象を受けます。
テクスチャ
テクスチャとは、写真に写る被写体の表面の質感を指します。
テクスチャは写真にリアリティを与え、テクスチャが豊富な写真は、被写体の存在感をより強く感じさせてくれます。
アーティファクト
アーティファクトとは、本来被写体に存在しない、写真に写り込んでしまった人工的な要素を指します。具体的には、以下のものが挙げられます。
輝度ノイズ: 光量不足や高感度撮影によって発生する、粒状の模様
レンズフレア: 光がレンズ内で反射して発生する、光の筋状の模様。
ゴースト: 光源がレンズ内で反射して発生する、円形や楕円形の像。
偽色: 実際の被写体の色とは異なる色が写ってしまう現象。
アーティファクトは写真の質を低下させてしまう原因となりますが、アーティファクトを意図的に利用して、写真表現に独特の雰囲気を加えることもできます。(ノイズを利用してレトロな雰囲気を演出するなど)
室内でvivo X90 Pro+ / Xiaomi 13 Ultraと比較
メインカメラ (ノーマルモード / ナイトモード)
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ノーマルモード
上段は写真全体、下段はそれぞれの写真を拡大して切り抜いたものです。
まずはノーマルモードからお話ししていきましょう。
ライト周辺の壁紙の質感について着目してみると、13 UltraとX90 Pro+はどちらも同程度のディティールを保持しています。
一方、X100 Proはこれら2機種よりもわずかにディティールに優れていることがわかります。画像右上の壁のディティールを見ても、やはりX100 Proは13 UltraとX90 Pro+よりも優れたディティールを持っていますね。
次に、壁に掛けてあるフェイクグリーンの右下部分に着目すると、今度はX90 Pro+がずば抜けて優れているように見えます。
13 UltraとX100 Proはどちらも同レベルのディティールで、X90 Pro+に遠く及びません。
拡大しているレコードの画像を見ても、ディティールが優れているのはX90 Pro+ > 13 Ultra ≧ X100 Proになっています。
つまり、この比較では見る部分によって優劣が大きく異なるわけですね。(私の部屋の模様替えでX100 Proだけピアノが置いてあるため、それが写真の処理に若干影響を及ぼしている可能性も考えられなくは無い)
ディティールにばらつきがある原因はよくわからないですが、それぞれの機種で処理の得意な部分と不得意な部分があるのだろうか?
模様替えの話は一旦無視して、X100 Proの写真処理について私が感じていることがいくつかあります。
まず、X100 ProはX90 Pro+に比べてノイズリダクションとシャープネスが強くかかるようになり、ディティールが潰れやすいということです。
そして、X90 Pro+よりも明暗差をハッキリつける写真処理に変わったのか、明るいところはより明るく、暗いところはより暗く処理される傾向にあると感じています。
[ノイズリダクション+過剰シャープネス+ハイコントラスト]によって、特に 影になっている部分のディティール欠落がしばしば見られます。
ハッキリ言ってしまえば、X90 Pro+から処理のレベルがガクッと下がっているのです。
X90 Pro+もシャープネスは強めですが、テクスチャに溶け込むシャープネスというか、シャープネスが写真のディティールをバキバキにせず、ほどよくディティールを強調してくれる印象です。
ノイズリダクションもX100 Proほど強くは無いため、ノイズは少し残りますが その分ディティールも潰れにくいです。
なぜここまで処理のレベルに差があるのか? イメージセンサーは同じだしF値も変わっていません。ハードウェア的にはX90 Pro+から受け継いでいるところが多いのになぜでしょうか?
私が考えている最大の原因はSoCです。X90 Pro+はSnapdragon 8 Gen 2、X100 ProはDimensity 9300です。
これまでのvivoは、カメラに本気を入れているモデルは軒並みSnapdragonを搭載していました。
Dimensityでカメラ性能に力を入れている物が無いわけではありませんが、最上位機種は やはりSnapdragonであったことに変わりはありません。
カメラスマホを追っかけている人ならご存知かと思いますが、Dimensityを搭載していてカメラ性能の評判が良い機種は非常に限られています。
さらに言ってしまえば、ミドルハイレンジ帯で「Dimensityなのにカメラが凄い!」といった評価はちらほら見かけますが、フラッグシップ帯で同じような評価を受けている機種はほとんどありません。
フラッグシップになると、「最近はDimensityも頑張っているけど やっぱりSnapdragonには劣る」という評価が大多数を占めています。
そんな感じで、Dimensity搭載機種のカメラがイマイチなのはいつものことなんですね。
DimensityのISP性能も良くなってきているのは事実ですが、コスパ重視のSoCであって、カメラ性能を追求するのは無理があると感じます。
ついでにHDR性能についてですが、上記の比較ではX90 Pro+だけ圧倒的に強くてそれ以外は白飛びしています。
X100 ProはX90 Pro+に比べて白飛びしやすくなったと感じます。先述したハイコントラストの話の影響だと考えていますが、X90 Pro+までは白飛び耐性最強だったのでちょっと残念ですね。
ナイトモード
ノーマルモードについての話がだいぶ長くなってしまいましたが、ナイトモードの比較にも触れておかなければなりません。
ナイトモードでは、ノーマルモードよりもノイズリダクションとシャープネスが強化され、全体がパキッと仕上がっています。
個人的にはもっとシャープネスを弱くしても良いと思っているのですが、なぜかどのメーカーもシャープネスをバキバキにしたがるんですよね~。ディティール強調したいのはわかりますが流石に過剰です。
それは置いておいて、まずはフェイクグリーンの右下部分を拡大して見ると、ディティールに最も優れているのはX90 Pro+です。
ノイズリダクションがとてもうまく、ディティールとノイズのバランスが取れていることがわかりますね。
X100 Proではノイズリダクションがめちゃくちゃ強くかかっています。おかげでノイズは少ないですが全体のディティールが塗りつぶされています。
それに比べて、ライト周辺の明るい部分はX90 Pro+ほど白飛びしておらず、ディティールが良い部分もあります。
次に、フェイクグリーンによって影ができているところを見てみます。X90 Pro+は壁の質感をほぼ完全に捉えていますが、X100 Proはグチャグチャになっている部分が多くありますね。
全体的な評価としては、X90 Pro+ > X100 Pro > 13 Ultraとなります。
こうして見返してみると、X90 Pro+のレベルの差に驚かされます。
超広角カメラ (ナイトモード)
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超広角ナイトモードについては、ぱっと見の解像感はX90 Pro+が最も優れていると感じます。
13 Ultraは写真全体が暗く処理されており、拡大してみても全体的にモヤっとしており、精細さに欠けています。
X100 Proは相変わらずシャープネスとノイズリダクションが強く、テクスチャが塗りつぶされてしまっています。
X90 Pro+は明部においてのディティールが非常に優秀ですが、X100 Proに比べると少しノイジーです。(これはノイズリダクションをかけすぎることによってディティールが潰れるのを防ぐためだと思われます。)
ノイジーとはいえ特に気にせず許容できる範囲内かと思いますので、超広角ナイトモードはX90 Pro+に軍配が上がります。
ズーム性能
メインカメラデジタルズーム
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2X
メインカメラのデジタルズームについてお話しする前に、まずはそれぞれの機種で高画質化処理が行われるズーム倍率を解説します。
Xiaomi 13 Ultraは2X~、vivo X90 Pro+は1.5X~、vivo X100 Proも1.5X~で高画質化処理が入ります。
ここで言う高画質化処理とはいわゆる “リモザイク” のことです。これは、QuadBayerイメージセンサーをBayerイメージセンサーとして配列変換し、解像度を高める処理です。
昨今のフラッグシップは一定倍率からリモザイクによって高解像度化する機種がほとんどで、大抵のモデルはメインカメラ / 望遠カメラの両方でリモザイクをしています。
これを踏まえて作例を見てみましょう。
2Xズームの作例では、X90 Pro+が一番ディティールを捉えています。
2番目にX100 Pro。13 Ultraは文句なしに最下位でしょう。
X90 Pro+はシャープネスのせいでパキパキですが、遠目で見ても近くで見ても高精細。HDR性能も高く、ライトは全く白飛びしていません。
X100 Proは相変わらずのっぺりしており、ノイズリダクションを強くかけすぎている印象です。しかしながら、思っていたよりはディティールが高いな~とも感じました。
13 Ultraは酷いもので、写真全体にモヤがかかったような質感で拡大するとノイズも多く、ディティールや解像感は皆無と言えるでしょう。
1.5X
次に1.5Xズームの比較について。この倍率では13 Ultraはリモザイクしていないので、X90 Pro+とX100 Proが圧倒的有利な立場になります。
予想していた通り、13 UltraはX90 Pro+とX100 Proに惨敗。
X90 Pro+とX100 Proでは、ディティールで言えばX90 Pro+の勝ちでしょう。
しかし、X90 Pro+はシャドウを持ち上げすぎていて少々不自然な写真に見えてしまいます。
前述したように、X100 Proはシャドウ暗め ハイライト明るめというコントラストのある写真処理に変わっていることがわかります。
この処理のおかげか、X90 Pro+よりは自然な写りに仕上がっている印象。
被写体によっても優劣は異なるのですが、この比較ではX100 Proが最も優れた処理だと考えます。
2X
3枚目の2Xズーム比較について。13 Ultraは最下位です。
ディティールレベルは相変わらずX90 Pro+が強いですが、全体が明るくコントラストが低く、1.5X時よりもさらに不自然さが増したように感じます。
X100 Proも何やら様子がおかしく、実にのっぺりとした塗り絵のような写真になっています。
せっかくディティールは悪くないのに、全体がモヤッとしていてテクスチャもスムーズすぎて のぺーっとして見えてしまうのが残念です。
2Xの比較は優劣つけ難いですが、個人的な写真の好みでX100 Proの勝ちとします。(私はX100 Proみたいなコントラストある写真が好きです)
X100 Proのデジタルズームを検証していて気になった点についてお話しします。
上記の写真を見て頂ければわかる通り、X100 Proは1.9X時のほうが写真全体がパリッとしていて解像感があります。
拡大するとシャープネスが強くてX90 Pro+っぽい処理が施されており、ぱっと見のディティールは2Xズーム時より良さそうです。(見る場所によっては2Xのほうが良かったりもするので、必ずしも1.9Xのほうが良いわけではありませんが)
2Xズーム時に何らかの高解像度化処理を行っていることは間違いありませんが、今回検証した環境下では その処理が裏目に出ているのかもしれません。
ペリスコープ比較
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ネイティブ倍率
Xiaomi 13 Ultraは光学5Xペリスコープ、vivo X90 Pro+は光学3.5X、vivo X100 Proは光学4.3Xです。
それぞれズーム倍率が異なるため、撮影した際の画角に差が生じます。(今回の比較では、なるべく画角差が出ないように撮影位置を調整しています)
また、光学ズーム倍率の違いに伴って、リモザイクするポイントもそれぞれの機種でバラバラになっています。
13 Ultraはリモザイクしてるのか不明。X90 Pro+は7Xでリモザイク、X100 Proは8.6Xでリモザイクしていると思われます。
ネイティブ倍率での比較では、Xiaomi 13 Ultraが最も低いパフォーマンスを出しています。
ノイジーでディティールが欠落し、HDR性能も最も低いと言えるでしょう。
vivo X90 Pro+とX100 Proを比較してみると、シャドウのディティールにおいてX100 Proが上回っています。
また、シャープネスが非常に強いため、拡大するとX90 Pro+よりも硬そうなテクスチャになっていますね。
ノイズリダクションも過剰であり、塗りつぶされているような部分が多々見られます。
10X
10Xデジタルズーム(フェイクグリーンの比較)では、X90 Pro+とX100 Proはリモザイクを行っています。
Xiaomi 13 Ultraは酷すぎるので飛ばしましょう。
10Xズーム時にはX90 Pro+とX100 Proの違いが顕著に表れており、X100 Proは過剰なシャープネスとノイズリダクションが目立ちます。
精細感が全く無く、拡大するとグチャグチャで非常に汚い写真になっています。
ぱっと見は綺麗ですが、処理のレベルで言えばX90 Pro+に及びません。
しかしながら、シャドウのディティールやノイズの少なさに関してはX90 Pro+に勝ります。
10X
10Xデジタルズームで瓶を撮影した写真の比較では、明部から暗部までにかけてX100 Proがもっとも高いディティールを保持しています。
X90 Pro+は文字の周りに色収差が出ており、文字の輪郭線も おぼろげです。
X100 Proに色収差が出ていないのは、ZEISS APOのおかげなのでしょうか。
20X
20Xデジタルズームになると、X100 Proが特に優れたパフォーマンスを発揮します。
いつも通りのっぺりしてはいるものの、ディティールは悪くありません。文字の輪郭もハッキリと捉えられており、紙の質感も残っていますね。
X90 Pro+はやはり文字の周りにアーティファクトが出ていて、輪郭はグチャグチャです。
Xiaomi 13 Ultraはノイジーでディティールも最悪でボケ領域もグチャグチャで汚らしいですが、20Xズームにしては意外と頑張っています。
X100 Pro単体レビュー
Xiaomi 13 Ultra / vivo X90 Pro+ / vivo X100 Proの3機種で統一された画角の写真があまり無いため、3機種の比較はここで終わります。
これからは、X100 Pro単体の作例についてお話していきます。
また、ここまでのレビューでは写真の雰囲気(エモさや個人の好み)というよりも、ディティール・ノイズ・HDRなどといった客観的な性能面での評価をしていました。
今後の評価基準はこれまでと大きく異なり、性能面よりも写真の雰囲気が基軸になります。
ノーマルモード
メインカメラ
vivo X100 Proのノーマルモードは、今までのvivoよりもコントラストが高い写りに変わった印象を受けます。
前述したように、明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗く。明暗差を強調する写真になりやすいため、コントラストがハッキリとしていてエモい写真が簡単に撮れます。
このような写真の処理は好みが別れるかなとも思いますが、今までのvivoみたいにシャドウをガンガンに持ち上げてコントラストがうっすい写真になるよりは断然イイですね。
コントラスト高めのエモい写真は、どことなく Xiaomi 13 Ultraの写真映りに近い感じがします。
また、X100 ProはZEISS Texture Colorモードが大幅に進化しました。このカラーモードは、Xiaomiでいうところの「LEICA Authentic」にあたります。
写真全体が少し暗くなり、コントラストが強くて周辺減光が付いた、エモい写真を撮るためにあるモードです。
このモード自体はX90 Pro+からありますが、X100 Proはさらにコントラストと周辺減光が強くかかるイメージ。
上記の作例では、夕日や夕焼けの写真がZEISS Texture Colorで撮影されています。
ZEISS Texture Colorは夕日/夕焼けとの相性がバツグンであり、私がこれまで使ってきたカメラスマホたちとは一線を画す最高にエモーショナルな写真が撮れます。
ペリスコープ
今回のモデルから、ペリスコープは4.3X(100mm)の光学ズーム倍率を有するテレマクロに進化しています。
特筆すべきは被写界深度で、X90 Pro+から比べて天と地ほどの差があります。
X90 Pro+よりも圧倒的に浅い被写界深度により、背景がボケた写真が簡単に撮れるようになりました。
加えて、最短撮影距離の短さも魅力です。X90 Pro+はペリスコープの最短撮影距離が遠いので、ペリスコで撮影するときにはわざわざ被写体から離れなければいけませんでした。
X100 Proは最短18cmまで寄れるので、X90 Pro+みたいに被写体から遠ざかる必要はありません。
写真写りも良好であり、メインカメラと同様にハイコントラストな写真です。
特に、X100 Proのペリスコープと夕日の相性は最高。作例がいっぱいあるので、夕日撮影に関しては後述します。
ナイトモード
メインカメラ
X100 Proのナイトモードはシャープネスが異常に強く、バキバキな写真になります。
しかしながら、色味は私の好みに良く合っています。特に港周辺で撮影した1枚目/2枚目/3枚目は、夕焼けに染まりつつある空と街並みがとても美しい…
ナイトモードはノーマルモードよりも全体が明るく処理されるっぽいですが、これまでのvivoよりは ややコントラスト高めかなと思います。
また、HDR性能が下がっているのか、ライト部分が白飛びすることがちょいちょいあります。
これは、コントラストを強調するためにあえて白飛びさせているんだと思われます。
X90 Pro+までは白飛びは絶対に許さない仕様でしたが、過度なHDRの影響で夜景の眩い光が失われ、微妙な写真になることがありました。(特にイルミネーションとかネオンライト)
X100 Proはそういう現象が起きにくいので、性能よりも写真写りを優先して白飛びさせているのなら私はそれでOKです。
ペリスコープ
ペリスコープのナイトモードは正直そんなに画質は良くありません。
おそらく、シャープネスが強すぎてバキバキになり、精細感が全く無いせいで画質が悪く見えるのだと思います。
もっとシャープネス弱くていいと思うんですが、、、
色味や写真の雰囲気はイイ感じで、バシッとハマればかなり良い画が撮れますね。
ただし、ある程度暗いと撮影時間がまあまあ長くなるため、被写体がブレることが多くて難しいです。
夕日撮影性能がトップレベル
vivo X100 Proの夕日/夕焼け撮影は、X90 Pro+や他社とは一味も二味も違います。
今までのvivoで夕日を撮ると、白飛びを防ぐためのHDRと黒潰れを防ぐためのHDRが両方とも強力に補正されていました。
その結果、シャドウが無理に持ち上げられてコントラストが失われ、夕日のノスタルジックな雰囲気がぶち壊されていました。
X100 Proはこれを改善し、無理やりHDR処理をするのはやめています。おかげで夕日の眩しさが際立つエモい写真へと進化。
夕日のオレンジ色から青い空へと遷移する豊かな色彩の表現力も上がっており、以前よりは階調飛びもマシになっています。(とはいえまだ完全に階調飛びが消えたわけではない。夕焼けの階調表現は超絶難しいシーンなので仕方ない)
異次元クオリティのポートレートモード
ほとんど全てのフラッグシップスマホにはポートレートモードがありますが、X100 Proの完成度とエモさはそれらの中でもトップレベルです。
被写体とボケ領域の境界線が正確で、尚且つボケ感はソフトウェアで作った感がほとんどなく、光学的なボケ味にかなり近いものです。
また、X100 Proを語る上で、新たに追加された「ヴィンテージフィルター」を無視することはできません。
このフィルターは色温度がやや暖かく、レトロな雰囲気が特徴です。
上記の作例では、最初の4枚とイルミネーション以外はヴィンテージフィルターを使用して撮っています。
このフィルターを使用すると、まるで映画のワンシーンをそのまま切り抜いたかのような写真を量産することができ、レトロな写真が好きな人にはたまらないフィルターと言えます。
私はX100 Proのポートレートモードが気に入りすぎて、撮影する写真は大抵ポートレートを使っています。
ペリスコープテレマクロは神
これまで、vivo X30 Pro / X50 Pro+ / X60T Pro+ / X70 Pro+ / X80 Pro / X90 Pro+と、カメラ特化型vivo Xシリーズの最上位は全部使ってきました。
どのモデルでも共通していた不満は「ペリスコープの最短撮影距離が長すぎる」ことでした。
HUAWEIやXiaomiが先行してテレマクロをフラッグシップに採用していく中、遂にvivoもペリスコープテレマクロに対応!!
これは、X100 Proの進化点の中でも最も大きなポイントと言って良いでしょう。
最短撮影距離は18cmなので他社に比べればちょっと長いのですが、まあ今までのvivoよりは断然良いことだけは間違いありません。
実際、この差は非常に大きかったです。ペリスコープで全く寄れないことにイライラしていた私ですが、X100 Proを買ってからはその不満は完全に消えました。
時計を接写することの多い私にとって、ペリスコープテレマクロは革命的です。
実用的に使うことのできるズーム範囲は15X程度で、これ以上ズームすると画質が粗すぎて実用するのは厳しいと感じます。
ペリスコープのキモイところ
vivo X100 Proのペリスコープに唯一不満があるとするならば、レンズ上部に設けられているギザギザの金属板とレンズ形状です。
(1枚目の画像はFind X7 Ultraです)
昨今のペリスコープには、レンズの上にギザギザの金属板が付けられることが多いです。この板には何らかの効果があるらしいのですが、私はその効果を実感したことは一度もありません。
調べてみると、一眼カメラで撮ったような光芒を出すために設けられているとかなんとかですが、公式が言っているわけでは無いので真の理由はわかりません。
この板があることによるメリットは良くわからないのに対して、デメリットは非常に大きいです。
2枚目の写真のボケをよく見てください。ウイルスに生えてる毛みたいなうにょうにょがありますね。
なんだこれは気色悪い。ギザギザの板を付けることによるデメリットがこれで、レンズボケに足が生えます。
X100 Proはレンズ形状もちょいと特殊なので、円の両サイドをカットしたようなキモイボケ形状になるんですね。
X90 Pro+は完全な円形レンズでボケ形状も玉ボケだっただけに、X100 Proのボケには落胆しました。
レンズ形状が特殊なのはまだ許せるとして、うにょうにょが生えるのは本当に許せません。しかも結構目立つんですよねコレ。
金属板のおかげで何かしら凄い良い効果があるなら別に許せます。うにょうにょが付いても許容できるくらいにドデカいメリットがあるのなら。
しかし、金属板の効果は大してよくわからないくせにこんな特大デメリットがあるなんて… なんたる愚行。こんな気持ち悪いもの付けるくらいなら取っ払って薄型化すればいいのに。
最近のペリスコープにはやたらとギザギザ金属板を付けているメーカーが多いですが、本当に必要ですかそれ???
付けるのであれば、そのメリットを教えてほしいですね。何も知らされずこんなクソキモイ板付けられるとか拷問ですよ。
まとめ
【vivo X100 Proの良いところ】
・色収差が出にくい
・20X以上の高倍率ズームにおいて優れたディティール
・ハッキリとしたコントラスト
・進化したZEISS Texture Colorでエモい写真が簡単に撮れる
・ペリスコープの浅い被写界深度
・ペリスコープの最短撮影距離が短い(18cm)
・ナイトモードの色味
・最高峰の夕日/夕焼け適正
・豊かな色彩表現能力
・優れたポートレートモードと新フィルター
【vivo X100 Proの悪いところ】
・過剰なノイズリダクション
・過剰なシャープネス / 拡大するとバキバキ
・上記2点の影響によってディティールが潰れやすい
・不自然なディティール処理 / 拡大するとグチャグチャ
・白飛びしやすい(XDR Photoの影響?)
・超広角カメラは低照度激弱
・2Xズームの処理が下手、全体がモヤッとする
・ペリスコープのデジタルズームは全体のテクスチャがグチャグチャ
・ペリスコープにある謎の金属板
かなり長い記事になりましたが、これでvivo X100 Proのレビューは終わります。
まとめると、X100 Proのカメラはノイズリダクションとシャープネスが過剰に処理されており、ぱっと見はいいけど拡大するとのっぺりしていて輪郭はバキバキ、X90 Pro+よりも劣るディティール処理。
一方、写真の色味や雰囲気は良くなっており、ZEISS Texture Color・ナイトモード・ポートレートモードの完成度などは素晴らしいものでした。
“性能”を突き詰める人よりも、”エモさ”を重視する人に向けたスマホといった印象です。
ここからはあとがき的な文章です。
vivo X100 Proを購入した方やレビュアーの方などの記事では、カメラに関しては賞賛されている内容のものが多いかと思いますが、今回の私の記事はなるべく悪い部分を言いまくりました。
特に前半はほとんど批判しか書いていないので、書き手の私に不快な印象を受けた人がいるかもしれません。
なぜ批判的な内容が多かったのか? 理由は非常に単純であり、褒める内容の記事は既に他の方々がいっぱい書いてくれているからです。
今更褒めたところで特に面白みも無いし学びも無いしスカスカな記事になるだけなので、私の正直な感想を全て書いてみました。
今までのvivo(の中でも最上位機種)は、私の期待を常に上回る何かを持っていました。しかし、正直なところX100 Proは期待を下回っています。
特にズーム時の処理はひどいものです。2Xデジタルズームですらのっぺりするなど、X90 Pro+から大幅に劣化しています。
なんてことを書き始めると、またつらつらと批判が出てきてしまうのでこの辺にしておきましょう。
“まとめ” の文でも述べたことですが、X100 Proは色味だとかZEISS Texture Colorモードの雰囲気やポートレートなどは、非常に優れていました。
X100 Proは “エモい写真特化型” であって、ディティールだのノイズリダクションがどうのこうのだのデジタルズーム性能があーだこーだとか、そういう指標で測るスマホではありません。
私の結論としては、X100 Proはパッとエモい写真を撮るためのスマホです。
わざわざ拡大して「ディティールが微妙だな」とか「テクスチャの処理がイマイチだな」とか言うのはナンセンスです。
“エモい写真” といった点についてはX100 Proは優秀であり、これまでのvivoを超越しています。
そして、言うまでも無くvivoの本命はX100 Ultraです。X100 Ultraでは、X90 Pro+と同等以上の優れたディティール処理、そしてX100 Proレベルのエモさを兼ね備えた最強カメラスマホになると予想しています。
私はX100 Proのデザインに惚れて即買いしちゃいましたが、今現在でX100 Proの購入を検討している方は、X100 Ultraのリリースを待ちましょう。
ただし値段はまあまあ高いので、その辺はご自身の予算と照らし合わせてご検討ください。
私の予想では、X100 Ultraは最小構成で6499CNY、日本円にして14万円弱です。タオバオで買えば14万円ちょっとの出費で済むだろうと考えています。
こんな長い記事を最後まで読んでくれた方がいるかどうかはわかりませんが、以上、vivo X100 Proのレビューでした。
最後まで読んでくださりありがとうございます<m(__)m>
著者サイト : https://spinformation.info/
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