スケルトンを特徴とする個性的なデザインの製品を開発・販売しているイギリスのベンチャー企業「Nothing」社。カールペイ氏がトップをつとめ、X(ツイッター)でも購入者とコミュニケーションするなど、親しみやすい人柄もある。
そんなNothing社の3作目にあたるスマホがおサイフケータイにも対応し、コスパの高さで話題となっているらしい。ということで、今回自腹でNothing Phone (2a)を購入した。高価格スマホを主に使用している目線から、2週間使用したレビューをする。
前回までのおさらい
休止期間中の4月2週目に準レギュラーのたわくん(@TaWaLL_FloWeR)が書いてくれた“Galaxy S23”のレビュー記事になります!!方向性がなかなか定まらなかったたわくんの“自分らしさ”が全面にでてる記事になりますので、現行最新モデル“Galaxy S24”との比較にも!!
4月の休止明け最初の記事は、そーすけの先輩でもあるはるかっかさん(@new_harukakka)に【ゲスト枠】として書いて頂いた“Xperia 5 IVのレビュー”と、“これからの国産企業の在り方と価値”についての記事になります!!字数はなんと結城さんの記事に次ぐ“12000字”と内容盛りだくさんとなってますのでぜひ!!
Nothing Phone (2a) の特徴
Nothing Phone (2a) の特徴は下記。
・背面スケルトン
・背面が光ることで通知
・それなりの処理能力
・ステレオスピーカー
・デュアルカメラ
・デュアル物理SIM
・リフレッシュレート120Hz
・¥49,800~
Nothing Phone (2a)は、背面スケルトンと、それが光るグリフインターフェースを除けば、機能モリモリのハイコスパスマホなんだ。
省電力性に優れた4 nmのMediatek製Dimensity 7200 Proを搭載していたり、リフレッシュレートが120Hzだったりとスペックにうるさいユーザも嬉しい仕様となっている。
Nothing Phone (2a)のスペック
Nothing Phoneの詳細なスペックは下記。今回は値段が10万円も高いiPhone 15 Proと比較する。
本来なら比較対象にはならない2機種だが、今回はこれでいく。
Nothing Phone (2a) | iPhone 15 Pro (Max) | |
ディスプレイ | 6.7 OLED120Hz 1300nits | 6.1 (6.7) OLED 120Hz 2000nits |
解像度 | 1080 x 2412 | 1179 x 2556 (1290 x 2796) |
SoC | Dimensity 7200 Pro | A17 Pro |
メモリ | 8GBまたは12GB | 8GB |
ストレージ | 8GB – 128GB 8GB – 256GB 12GB – 256GB | 128GB 256GB 512GB 1TB |
バッテリー | 5000 mAh | 3274 mAh (4441 mAh) Qi対応 |
カメラ | 2眼(メイン+超広角) | 3眼(メイン+超広角+望遠) |
セキュリティ | 画面内指紋認証(光学式) 2D顔認証(マスク対応) | 3D顔認証(マスクと暗所対応) |
フェリカ | おサイフケータイ 対応 | Apple Pay 搭載 |
防水 | IP54 | IP68 |
SIM | 物理デュアルSIM | 物理SIM(1枚)+eSIM(2枚) のうち2枚選択 |
重量 | 190 g | 187 g (221g) |
価格 | ¥49,800 ~ | ¥158,800 ~ (¥189,800 ~ ) |
Nothing Phone (2a)に対するiPhoneの大きな優位性は処理能力/望遠カメラ/無線充電の3点。一方でNothing Phone (2a)は軽量/指紋認証/物理SIM2枚と10万円も安い価格が強み。
個性的なデザイン
定価5万円以下と昨今のスマホとしては安いのにかかわらず、ボディの完成度は上々。
ただ、バックの透明な素材がガラスではなくプラスチックなのがコストカットを感じる。
ボタンの配置がiPhoneと同じ
充電端子はUSB-Cで最大45Wの充電速度に対応する
ワイヤレス充電は非搭載
ディスプレイ
iPhone 15 Proとディスプレイ比較。どちらもOLED(有機EL)で120Hz表示だから残像が少なく見やすい。
Nothing Phone (2a)は黄色っぽい調整で色味はiPhoneに近い。
注目すべきがベゼルが均一であることで、
5万円前後のスマホはベゼルが下部のみ太い場合が多いが、デザインにこだわるNothing らしく、完璧だ。
ディスプレイを覆うガラスはCorning Gorilla Glass 5だ。
輝度は1300nitsで、屋外でもそれなりの見やすさはある。
処理能力
Nothing Phone (2a)のGeekbench 6のCPUスコアは2572点だった。
Nothing Phone (2a)のDimensity 7200 Proの処理能力はiPhone 15 Proや最強チップのSnapdragon 8 Gen 3の1/3程度。
iPhoneでいえば、6年前のiPhone XSに相当する性能だ。ゲームができないことはないけど得意ではない。
Antutuは72万点。これも今の最高性能スマホの1/3程度の結果となった。
OS
Nothing Phone (2a)はPixelと同じくほぼ純正のAndroidを搭載している。ということで完全に人を選ぶ仕様。
例えばクイック設定パネルがこんな感じなんだけど、この画面には明るさ調整バーも設定ボタンもない。
明るさ調整バーや設定ボタンを表示するには2回スワイプするか、二本指でのスライドが必要。
またピュアAndroidベースだから音量調整のバーもない。
Nothing PhoneはPixel シリーズと同じように、かゆいところに手が届かないことが各所で感じられる。みんな大好きiPhoneのiOSのコントロールセンターがよく考えられていることがわかる。
とはいえ慣れればこれが普通になるし、余計な機能がない分、動作もスムーズに動くからトレードオフって感じ。
iOSには総合的に劣る
iOSは、そのアプリがiPhone特注のガチガチに最適されたものなので、例えば9年前のiPhone 6sであってもそれなりに動く。
処理能力が飛び抜けているiPhone 15 Proはパワフルな馬力に合わせて、最適化不足によるラグやカクツキなどは一切なく、最高のスマホ体験ができる。
Androidは最適化・調整という面ではiOSにはかなわない。処理能力が高くてもそこは変わらず、例えば重めの3Dゲームなどは、大差はないにせよ、iPhoneのほうが読み込みが早いことがほとんどだ。
そんなAndroidベースのNothing OSを搭載+中級チップの組み合わせなので、Nothing Phone (2a)とiPhone 15 Proの操作感は大きく違うと思った方がいい。10万円も違うんだから、当たり前ではある。
ただ、Nothing OSはピュアAndroidに近いから、Android OSの中ではスムーズに動くしディスプレイも120Hzだから、ふつうに使う分には大きな不満も感じない。
ホーム画面とロック画面
基本はPixelと同じだが、ホーム画面の下のGoogle検索バーを非表示にすることができたり
ロック画面にウィジェットを配置することが可能。
しかし対応しているのはナッシング純正のものだけで、PayPay支払いのショートカットなどiPhoneで使えるような便利なアプリは追加できない。
バッテリーライフ
性能があまり高くない分、あまり電力を消費しないので、バッテリーライフはけっこう優秀な部類。多くの人にとって1日は心配なく使えるレベル。
ほかのスマホと同様に、屋外で常に画面の明るさ最大で使用すると順調に電池を消費するので、旅行の際にはモバイルバッテリーがあると安心だ。
カメラ
ここからはNothing Phone (2a)のカメラ画質を検証していく。5万円のスマホが15万円のiPhoneとどこまで戦えるか、見ていこう。
Nothing Phone (2a)のカメラ構成は下記。
メイン 50 MP (1/1.56型) ƒ/1.9 光学式手ぶれ補正 搭載
超広角 50 MP (1/2.76型) ƒ/2.2 画角114˚
写真は全て標準カメラアプリのオート撮影、HDRとAI補正ありの状態(撮影後無加工)。
日中 は色が独特
順光であれば露出のバランスも良く、解像感も十分あり良好。
色味は個人の好みによるが、iPhoneの方が写実的に見える。
ただし、チップがMediaTek Dimensityであるため画像処理能力は低く、全体的に青白っぽい
見た目よりも薄い写真になる
超広角はミドルスマホとしては最低限使える画質
傾向は標準カメラと同様で、順光はそれなり、逆光は白飛び気味
ズームは最大10倍まで可能で、2倍までならギリギリ耐えられるが
5倍になると使い物にならないレベルまで画質が劣化する
高画素 は使いものにならず
Nothing Phone (2a)は5000万画素でも撮影が可能。明るめでぱっと見はiPhoneと遜色なし。
ただ拡大すると明らかにiPhone 15 Proのほうが鮮明で
iPhoneよりNothing Phoneは200万画素高いのにもかかわらず、画質が悪い。さらに、ファイルサイズが11.7MBとiPhoneよりもだいぶ大きい。高画素=高画質とは限らないとは良く聞く話ではあるが、まさにそれを実感した。
結論、Nothing Phone (2a)の5000万画素撮影は使い物にならない。
食べ物 撮影が優秀
ラーメンを撮影。iPhoneは超広角カメラに自動で切り替わったため画質が悪い。Nothing Phoneは標準カメラで撮影できた。色も明るめ+ややこってり目なのでメシウマ。「腹減った」ってLINEしてきた友人に送りつけたい。飯テロ。
スタバ。Nothing Phoneはやや明るめで美味しそう。
ストローのボケ。どちらも精度はそこまで良くない。人物撮影の場合は、背景ボケが優秀だった。
Nothing Phone (2a)は最短撮影距離が短いから撮影はしやすい。
夜景 は優秀
Nothing Phone (2a)はiPhoneよりも10万円安いのに看板が白飛びしない。すごい。
全体のバランスも良く、定価5万円のスマホとしては十分以上の画質だ。
ただ解像感などはiPhoneのほうが上。
iPhoneはコントラストが高く暗部がやたらと暗いが、Nothing Phoneは写真全体が見やすい。
センサーがでかいiPhoneは細部の描写ではやや上回るが、それでもNothing Phone (2a)のHDR性能は抜群の安定感。
ただしレンズがあまり良くなく、フレアがひどい。あと夜空を明るくしすぎ。iPhoneは左にある看板が相変わらずの白飛び具合。どっちも酷い。Nothing Phoneは5万円だから許せる。iPhoneは15万円。ちょっと厳しい。
超広角カメラの夜景は、画角の広さ、レンズフレアを考えるとiPhoneのほうが少しリードしている。ただどちらも標準カメラ比で解像感が激落ち。Nothing Phone (2a)は5万のスマホとしては悪くない。iPhoneはフラグシップ端末としては失格レベル。
昼間でも厳しかったズーム性能は相変わらず酷い。ただ白飛びは頑張って抑えている。望遠カメラのあるiPhoneは解像感は圧倒的に高いが、コントラストが高いのと黄色味が強すぎるのが気になる。
カメラの総評
Nothing Phone (2a)のカメラの調整は惜しい。日中の撮影では白っぽい写りが多く、現実とは違う色味なことが多い。
夜景は想像以上のパフォーマンスで驚いた。
あとご飯がおいしそうに映るのもいい。
ただ昼の何気ない風景写真を撮る人も少なくはないはず。明るいところの写真をもう少し調整して欲しい。
FeliCa / おサイフケータイ 対応
Nothing Phone1,2とFelica非搭載であったが、ようやく2aは対応した。
これまでのNothing PhoneはFeliCaは非搭載が原因で選択肢に入らなかった人も多いので、(2a)がどれほど売れるのか気になるところ。
Nothing Phone (2a)の良い点
独創的なデザイン
iPhoneと同じボタン配置
AirPodsの電池残量が見れる
大画面なのに軽い
安くてもサクサク動く
綺麗な有機ELディスプレイ
メシウマ&夜景が得意なカメラ
おサイフケータイ
指紋&顔認証
5万円以下のスマホとして考えれば、iPhoneユーザかつ軽い使い方しかしない人が乗り換えても、大きな不満もなく、非常に満足度が高い。
AirPodsのバッテリー残量を表示できるので、Android × AirPodsという組み合わせで問題なく使える。
Nothing Phone (2a)の及第点
▲原神のような重めのゲームはサクサクできない
▲ディスプレイの最低輝度の黒のノイズ
▲無線充電非対応
▲スクショを撮る時に押し間違える
▲イヤホンジャックとmicroSDスロット非搭載
カメラの昼間の風景撮影&動画性能
及第点は上記。値段を考えれば仕方のない点も多い。
iPhoneにもイヤホンジャックとmicroSDスロットはないから、不満に思う人も少ないはず。
確かに安いスマホによくある黒色表示にノイズが乗る問題もある。これは真っ暗な部屋でかつ明るさを最も暗くしないとわからないし、どれだけの人がそのような使い方をするかという話でもある。
本体左に音量上下ボタン、右に電源ボタンという配置はiPhoneとまったく同じだが、スクショのボタンが違うのが地味にストレス。iPhoneに慣れているからこその問題だ。
ただこれも設定で変えることできて
中華スマホによくある3本指のスワイプによってもスクショが撮れる。と同時に、ボタンのスクショも無効にできるが、iPhoneみたく音量上と電源ボタンでもスクショできるオプションがほしい。
動画性能は4K 60fps撮影は不可能(1080P 30fps, 1080P 60fps,4K 30fpsまで可能)。手ぶれ補正は必要最低限効いており撮った映像で酔うことはないが、解像感がいま一歩。 TikTokやYouTubeといった画質が重視される使い方はおすすめしない。ふつうに記録撮影としては十分。
Nothing Phone (2a)の改善点
iPhoneほど滑らかには動かない
AirDropが使えない
iPhoneにしかないアプリがある
アクセサリー(保護ガラスやケース)の少なさ
カメラのズーム性能&5000万画素
防水性能
上の4つはNothing Phone (2a)特有の問題というよりかは、Android全般に言えることなので詳しくは説明しないが、滑らかに動かないというのはアニメーションの作り込みがiOSに劣るということであって動作がカクつくということではない。iPhone独特のヌルヌルとした感じには動かないよね、って話。
カメラはせいぜい2倍ズーム程度が限界で
5000万画素もおまけ程度
もちろん人によって求める画質は違うから、2aの画質でも満足できる人もいるはず。
ただiPhoneと比べればどうしても劣る。
防水はあってないようなものだから、IP68でも水没する時はするし、IP54でも耐えれることもある。
気持ちとしてIP68のほうが安心感があるのもまた事実。このあたりは価格が安いと割り切るしかない。
円安の今、救世主的な存在
ここまで及第点と改善点を長々と書いたが、それらを含めても定価5万円という値段を考えれば性能、バッテリー持ち、カメラ性能、付加価値に対する価格のコスパが圧倒的。
こだわりがなく、なんとなくiPhoneを使ってた人なら十分満足できるし、少し前の低価格Androidスマホを使ってる人なら5万円でここまでサクサク動くことに感動するはず。
Nothing Phone (2a)をおすすめできない人
こんな最強のNothing Phone (2a)をおすすめできない人がいるとすれば下記の4種類。
- 個性強めなデザインが苦手な人
- ゲームをする人
- コンパクトさが欲しい人
- カメラ画質に最高を求める人
繰り返しにはなるけど処理能力とカメラ画質はどうしても高価格スマホには劣る。
また、サイズも6.7インチの大画面しかなく、6.1インチ程度のコンパクトスマホに慣れている人からすれば大きい。iPhoneでいうPlusとPro Maxくらいの大きさがある。
デカくてそこそこの性能で安いスマホが欲しい人にはぴったりだ。
これからなのにNothingには辛い
2024年5月中旬時点での5万円前後のスマホは下記。
- Google Pixel 8a 72,600円
- Redmi Note 13 Pro+ 5G 59,800円
- AQUOS sense8 54,000円
- Morotola edge 40 53,900円
- Nothing Phone(2a) 49,800円
- Redmi Note 13 Pro 5G 41,800円(au)
- Xiaomi 13T 実質40,000円〜 (au)
すべてFeliCa/おサイフケータイを搭載している。
それぞれのスマホどれもが使えるレベルのスペックがあるから、あえてNothing Phone (2a)を選ぶ理由がないものまた事実。
特に、ここ数年おとなしかったXiaomi JAPANが今年はかなり盛り返している。
5月9日に都内で開かれた新製品発表会にインフルエンサー枠として招待されたので簡潔にレポートをする。(会場の写真はすべて筆者が撮影。)
世界シェア3位のXiaomiは確かな技術と高いコストパフォーマンスで支持を得てる。Xiaomiは日本でもファンが多く、会場は新製品が発表されるごとに盛り上がりを見せた。
Redmi Note 13 Pro 5G/13 Pro+ 5G はミドル端末ながらカメラ性能の高さ、ディスプレイ性能の良さをアピールした。
今回の発表は5万円前後の端末だけではない。
Xiaomiのすべての技術を詰め込んだフラグシップ端末『Xiaomi 14 Ultra』の日本投入が決定&20万円以下の価格の発表では会場を沸かせた。
Xiaomi 14 Ultraはこのブログのたまさんをはじめとしたカメラを重視するユーザからレビュー記事がすでにたくさん作られている。
5万円前後の手に取りやすいミドルスマホで知名度を高めつつ、技術を惜しみなく詰め込んだ高級スマホを販売することで、ブランド力の向上をはかるXiaomi。
FeliCaにまで対応し、日本市場を本格的に狙いに来たNothing にとって、かなりの脅威ではないだろうか。
ということで、どうせ同じ価格を払うのだから最新にしたいならRedmi Note 13 Pro 5G か13 Pro+ 5Gだし、特にこだわりのないならNothing Phone (2a)を選んでNothing を応援するというのもあり。
メーカーには油断できないスマホ市場だが、エンドユーザとしては、新しい選択肢が増えるのは嬉しい。
結論:ハイエンド信者はサブならあり
高価格帯スマホを普段から使ってる人にとって、Nothing Phone (2a)がどうだったかと言うとサブ機ならあり。と言うのが結論になる。
やはり、高いスマホに慣れてしまうと細かなコストダウン要素がどうしても気になってしまう。
ずっとミドル帯を使い続けてきた人からすれば大満足だろうが、10万円20万円する、その時の全ての技術を詰め込んだスマホを知ってしまうともう後には戻れない。
これからも私は高いスマホを買い続けるのだろうとある意味感じたNothing Phone (2a)であった。
端末自体は非常に素晴らしいことだけは保証したい。そしてスマホ激戦区の日本市場で、どのように付加価値をアピールし成長していくか、今後のNothingが楽しみだ。
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