今年も新型iPhoneを入手したので、約1か月使ってみた率直な感想をまとめてみたい。
今回登場した「iPhone 17 Pro」は、新たに光学4倍の望遠レンズを搭載し、冷却構造にはベイパーチャンバーを採用するなど、内部設計も進化している。
では、実際の使用感をチェックしていこう。
おさらい
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【Pixel 10 Pro レビュー】目立つ進化は少なめ。でも少しずつ、確実に良くなっている。
新デザイン ― Proの象徴がより“主張する”方向へ
では、新しいデザインを見ていこう。


iPhone 11 Pro以来、Proモデルの“顔”として定着しているトライアングル配置のトリプルカメラはそのままに、カメラユニットそのものをより強調したデザインへと進化した。背面を見ればすぐに「新しいiPhone」だとわかる、まったく新しい印象のデザインだ。
とはいえ、この変更は好みが分かれるポイントでもある。
従来のシンプルで落ち着いたデザインのほうが高級感があったと感じるユーザーも少なくないだろう。実際、筆者自身もその一人である。
1か月使ってみてもなお、先代の洗練されたデザインが恋しく感じる――いわば“iPhone 16 Proロス”と言ってもいいかもしれない。
素材の変化 ― チタンでもステンレスでもない“原点回帰”


今回は、デザインだけでなくボディ素材も刷新されている。
ステンレスでもチタニウムでもなく、採用されたのはアルミニウムユニボディだ。側面と背面の継ぎ目がなく、一体感のある美しい仕上がりは、かつてのiPhone 7世代を思い起こさせる。
どこか懐かしさを感じさせるデザインであり、筆者にとっては特に印象深い。なにしろ、初めて手にしたiPhoneがiPhone 7だったからだ。あの頃の手触りや質感を思い出させてくれるこの変化には、個人的にも少し胸が熱くなった。
Proモデルはまさかのツートン仕様に




iPhone 17 Proでは、ボディデザインにもうひとつ大きな特徴がある。
それが、まさかのツートン仕様だ。カメラユニットの存在感が増しただけでなく、背面の半分がガラス素材で成形されている。
一見するとデザイン上のアクセントにも見えるが、実はこれには技術的な理由がある。アルミニウムは電波を通しにくく、ワイヤレス充電や通信との相性がよくない。そのため、背面の一部をガラスにすることで、充電性能や通信品質を確保していると考えられる。
デザインと機能の両立を図った結果ではあるが、従来の一体型デザインを好むユーザーにとっては少し複雑な印象を受けるかもしれない。
本体右側には、カメラコントロールボタン、電源ボタンを備える。カメラコントロールボタンは若干柔らかくおしやすくなった。




▼iPhone 17 Pro (下)は下部のデザインがシンメトリーになった。アンテナラインもなくなり、デザインが美しい。


▼IPhone 17 ProとiPhone 16 Proのデザイン。iPhone 16 Proのデザインの透明感や高級感は素晴らしい。




▼日本版では物理SIMが廃止。先代にあったSIMスロットがないことが確認できる。


▼ディスプレイの画質の良さはあいかわらず。今回は、ピーク輝度が2000 nitsから3000 nitsに向上しており、屋外の視認性がさらに向上している。


ボディの剛性感もよく、さすがのフラグシップスマホといったところだ。
iPhone 17 Proのカメラの実力は?
ここからは、カメラ画質をiPhone 16 Proを横にみていこう。写真はすべて、左がiPhone 17 Pro、右がiPhone 16 Proだ。
まずは広角カメラ(1倍)で撮影してみる。
広角カメラはiPhone 14 Proから続く、4800万画素(1/1.28型)センサーを引き続き採用しており、ハードウェアが同じため、基本的な描写傾向は両機でほぼ同じだ。


▼上の画像を拡大したのが下の画像。


iPhone 17 Proの写真は、シャープネスが控えめになっており、従来比でより自然な撮影が可能だ。
▼広角カメラ。ほぼ同じではあるが、若干シャープネスが控えめになっている。




▼続いて超広角カメラ。画角の広さは両機で同じだ。イメージセンサー自体は4800万画素(1/2.55型)で共通しているが、iPhone 17 Proは保存解像度が24.5MPに変更されたことで、わずかに解像感が向上している。


▼iPhone 17 Proは光学4倍、iPhone 16 Proは光学5倍で比較してみる。
画角の差はわずかに広めで、全体の構図にも影響が出ている。さらにiPhone 17 Proはハードウェアが刷新され、従来の1200万画素(1/3.06型)から4800万画素(1/2.55型)へセンサーが大型化。これにより、ノイズは明らかに抑えられ、ディテールもよりシャープに再現されている印象だ。


スペック以上に画角の違いが大きいことに気づく。5倍(120 mm)は寄りすぎている場合も多いので、4倍の画角は使いやすい。
▼8倍ズームで比較。iPhone 17 Proは、高画素センサーの中央部分を切り取るクロップズームに対応しており、Appleもこれを「光学品質8倍ズーム」と表現している。
実際に見比べると、単純なデジタルズームとなるiPhone 16 Proよりも、ノイズやディテールの再現性が改善されていることが確認できる。






iPhone 17 Proの4倍以上のズームでは、8倍のみ、高精細な約1200万画素をクロップした「光学品質」ズーム撮影が可能だ。これにより、従来よりも遠くの被写体を鮮明に切り取れる。
4.1倍から7.9倍までは単純なデジタルズームとして24.5MPで撮影され、8倍以降(8倍のみ光学品質ズーム)は12MPで保存される仕様になっている。
倍率 | 品質 | 記録画素数 |
0.5倍 | 光学 | 24.5 MP |
0.6~0.9倍 | デジタル | 24.5 |
1倍 | 光学 | 24.5 |
1.2倍、1.5倍 | デジタル(光学品質) | 24.5 |
2倍 | デジタル(光学品質) | 12 |
2.1~3.9倍 | デジタル | 12 |
4倍 | 光学 | 24.5 |
4.1~7.9倍 | デジタル | 24.5 |
8倍 | デジタル(光学品質) | 12 |
8.1~40倍 | デジタル | 12 |
▼試しに、7.9倍と8倍で撮影した写真を比較してみよう。(左が7.9倍、右が8倍)。








やはり、綺麗に12MPが切り取れるかつ、その倍率で画質が最適化されている8倍の方がノイズが圧倒的に少なく、自然だ。7.9倍は加工感が強くノイズも多い。
補正が難しい植物をみてみよう。これも左が7.9倍、右が8倍だ。




やはり右の8倍のほうがシャープネスが抑えられており、自然である。
▼最後にこちらのシチュエーションを。砂利の上のカラーコーンだ。




拡大してみると明らかに右の8倍の方が高精細である。
つまり、望遠をするなら7.9倍といった中途半端な倍率にするのではなく、しっかりと8倍ちょうどで撮るのが良い。
▼クレープを撮影してみた。どちらのカメラでも、しっかりと質感が再現されており、美味しそうに写し出せている。




▼2倍ズームでお寿司を撮影してみた。左の「iPhone 17 Pro」で撮った写真のほうが、ネタの色味がより鮮やかで、美味しそうに見える。




▼広角カメラで夜景を撮影。ノイズ処理やホワイトバランスの傾向に大きな差はなく、どちらも高いレベルで露出制御が行われている。全体としては自然な明るさで、街灯や看板の白飛びもよく抑えられている印象だ。


▼上の写真を一部拡大して比較。やはり「iPhone 17 Pro」のほうがシャープネス処理が控えめで、ディテールの表現がより自然だ。


▼広角カメラ(1倍)


▼上の写真の部分拡大


▼広角カメラ(1倍)で撮影した写真をXに投稿してみたところ、どちらが「iPhone 17 Pro」で撮影されたものか、はっきりと見分けられた人は少なかった。色味やディテールの差はあるものの、1倍での広角撮影では両者の表現力が非常に近く、日常使いで違いを意識する場面はほとんどない印象だ。


▼一部を部分拡大した画像。やはり、左のiPhone 17 Proはシャープネスが控えめ。


▼広角カメラ(1倍)で撮影。iPhone 17 Proが露出がやや高い。




▼2倍ズームで撮影。暗所でも両機ともノイズを抑えつつ、シャープで見やすい2倍ズーム撮影が可能だった。細部の描写や明暗のバランスも良好で、実用上ストレスを感じることはほとんどない。


▼上の写真の一部拡大。


▼広角カメラ(1倍)と2倍ズーム。




▼超広角カメラで夜景を撮影。全体的に黄色味が抑えられ、ホワイトバランスが改善されている印象だ。街灯や建物の色も自然に再現され、夜景撮影の仕上がりがより安定している。


▼iPhone 17 Proは光学4倍、iPhone 16 Proは5倍で撮影。望遠も色味が改善されている。


▼8倍ズームの比較。


▼それぞれの光学倍率4倍、5倍ズームの比較。


▼上の4倍・5倍ズーム写真を同じ大きさに拡大して比較。色味はiPhone 17 Proで大幅に改善されており、自然な発色が目立つ。一方で、光学倍率の高いiPhone 16 Proも細部の描写では健闘しており、大きな差は感じられない。とはいえ、iPhone 17 Proは光学倍率からのクロップ耐性が高く、より多くの情報を保持したままズームできる点で、進化を実感できる。


▼8倍ズーム


▼8倍ズーム


▼上の8倍ズーム写真を拡大して比較。iPhone 17 Proでは、右側の建物のノイズが明らかに抑えられており、ディテールの再現性も高い。高倍率でも色味やシャープネスが安定しており、遠景の撮影でも実用的な仕上がりだ。


▼2倍ズーム


▼それぞれの光学倍率4倍、5倍


▼4倍、5倍の部分拡大


▼2倍ズーム


▼2倍ズームの拡大


▼それぞれの光学倍率4倍と5倍


▼4倍と5倍の部分拡大


▼8倍ズーム


▼8倍ズームの部分拡大


全体的に見ると、シャープネスは控えめに調整され、注目の望遠性能も確実に進化している印象だ。
また、動画撮影機能も着実に向上しており、特に超広角カメラでの夜間撮影では、従来モデルより明るく、ノイズの少ない映像を記録可能になった。暗所でも被写体の輪郭や色味がしっかり再現されており、夜景や屋内の撮影でも安心して使えるレベルに仕上がっている。
iPhone 17 Proのカメラ評価 ― 安定した高画質と一部の個性


iPhone 17 Proのカメラは、総じて非常に完成度の高い仕上がりだ。
基本的な画質はこれまで通りシャープで、ダイナミックレンジも広い。誰でも“撮って出し”で満足できる静止画を簡単に得られる。
シャッター速度は速く、手ぶれ補正も強力。失敗写真がほとんどなく、「常に80点以上の写真が撮れる」と評しても過言ではない。
一方で、ホワイトバランスがやや暖色寄りなのは従来からの傾向で、人によっては「黄色っぽい」と感じるかもしれない。
また、改善傾向にあるものの、シャープネスや輪郭補正が強めに効く場面もあり、特に本格的な写真撮影を行うユーザーからは「やや人工的」と受け取られる可能性もある。
もっとも、iPhoneは撮影後の調整機能も充実している。純正の写真アプリ内にあるフォトグラフスタイルで色味を自分好みに調整できるほか、ProRAWでの撮影にも対応しているため、後から本格的な編集を行うことも可能だ。
そのため、最終的な評価は「どこまで自分で仕上げたいか」によって変わってくる。自動で美しい写真を残したい人にも、作品づくりにこだわりたい人にも応えられる懐の深さが、iPhone 17 Proの強みといえるだろう。
パワフルさはさらに高次元へ
iPhoneの「Pro」モデルといえば、スマートフォンの中でもトップクラスの処理性能を誇り、多くのノートPCを軽々と凌駕する存在だ。
今年の「iPhone 17 Pro」には、新チップ A19 Pro が搭載されている。一部のベンチマークでは、M2 MacBook Airを上回るスコアを叩き出すとも報告されており、その性能の高さは折り紙付きだ。
実際の使用感も申し分ない。アプリの起動や切り替えは瞬時で、リフレッシュレート120HzのProMotionディスプレイと相まって、あらゆる操作が滑らかに感じられる。
とはいえ、これは昨年、いやその前のモデルからも感じていた“最高のスマホ体験”でもある。つまり、今回も圧倒的に快適ではあるが、日常的な使用において“劇的な変化”を体感できる場面はそれほど多くないのも事実だ。








まとめ


良い点
- ディスプレイがとても綺麗
- アプリの最適化とOSの滑らかさが魅力
- OSのアップデートが長いため購入後も新機能を楽しめる
- 処理能力が高く操作が軽やか
- 静止画のシャープネスが控えめに。より自然に撮影ができるようになった
- 新しい光学4倍望遠カメラの画質が実用的
- 滑らかな動画が撮れる
- スピーカーの音量、音質共に良好
- 触覚フィードバックが優れている
- バッテリー持ちも体感でわかるほど良くはなっている
- MagSafe充電時の発熱が抑えられている
注意点
- ボディが重い
- ボディが脆いと言われている(アルミニウムは塗装が剥がれやすい、傷がつきやすい)
- 物理SIMに対応していない
- テレマクロに対応していない
- デザインは賛否わかれる
- 背面のりんごデザインの位置が気になる
iPhone 17 Proは「14 Pro以前」ユーザーにこそ勧めたいアップデート


iPhone 17 Proは、シリーズとして着実な進化を遂げたモデルだが、すべてのユーザーにとって“買い替え必須”というわけではない。結論から言えば、iPhone 14 Pro以前を使っているユーザーには十分なアップデート価値がある。
Lightning端子からUSB-Cへと移行し、光学3倍から4倍望遠レンズへと進化。さらに、ベイパーチャンバーの採用による熱処理性能の向上も見逃せない。これらは、日常的な使い勝手や撮影環境において確実に違いを感じられるポイントだ。
一方で、iPhone 15 Proからの乗り換えとなると話は変わる。15 Proはシリーズ最軽量のチタンボディが特徴だったが、17 Proではサイズと重量が増加しており、持ち替えた瞬間に差を感じるだろう。また、iPhone 16 Proからの移行では、物理SIMの廃止やデザインの変更など、失う要素のほうが目につくかもしれない。4倍望遠の魅力だけで機種変更を決断するのは難しい。
総じて、iPhone 17 Proは明確な進化点と明確な割り切りが共存するモデルと言える。特に、USB-C対応や望遠性能の強化など、使い勝手の改善を重視するユーザーにとっては魅力的だが、デザインや重量バランス、物理SIMを重視する人には慎重な判断が求められる。
ただし、廉価なAndroid端末からの乗り換え、あるいは古いiPhoneシリーズからの移行であれば、その進化をあらゆる場面で実感できるはずだ。
iPhone 17 Proは「カメラスマホ」として十分使えるか?
結論から言えば、基本的には十分にカメラスマホとして使える。
従来通り、誰でも簡単に高精細な写真を撮影できる点は健在だ。今回のiPhone 17 Proでは、超広角・メイン・望遠のすべてのレンズで2400万画素撮影に対応。これにより、より細部のディテールを鮮明に捉えられるようになった。
また、新しいiOS 26ではカメラアプリのUIが刷新されている。
一度に表示される情報量が最適化され、構図や被写体に集中しやすくなった。こうした改良により、iPhone 17 Proは「誰でもすぐ高品質な写真を撮れるスマートフォン」としての完成度をさらに高めている。
動画撮影においても、強力な手ぶれ補正と高い画質は健在で、もはや簡易的なアクションカメラに匹敵するレベルだ。
一方で、改善された望遠レンズについてはやや評価が分かれる。
光学4倍ズーム、最大8倍相当のデジタルズームと、スマートフォン全体で見れば“平均的”な性能に留まる。最近ではテレマクロ撮影に対応した望遠モジュールを採用する機種も登場しているが、iPhoneは依然として最短撮影距離が長い。
そのため、近くの花を高画質のまま大きく撮ることや、少し離れた子どもを光学ズームで捉えることは難しい場面もある。
画質そのものに大きな不満はないものの、撮影体験という観点では改善の余地が残る。
カメラ以外の要素で無印モデルとの差が小さくなっている今、Proモデルとしての存在感を示すためにも、今後のiPhone Proシリーズにはさらなるカメラ性能の進化が期待される。
文、写真 あおと
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