スマートフォンから白物家電まで、その領域を拡張し続けるXiaomi Japanが次なる一手としてグルーミング市場に乗り込んできた。今回登場したのは、ポータブルな「Xiaomi 電動シェーバー S200」と、ミニマルを極めた「Xiaomi 鼻毛カッター」の2製品だ。
日常に欠かせない身だしなみのルーティンに、この中国の巨人はどのような体験をもたらすのか。それは、メイン機を脅かすほどの革命か、あるいは限定的な状況で輝く「サブ機」としての提案なのか。その実力を、詳細に見ていこう。

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前回のおさらい
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実際に使ってみた感想
論より証拠。まずは実際に電動シェーバーと鼻毛カッターの使用感をまとめてみた。
Xiaomi 電動シェーバー S200:ポケットに忍ばせる、最低限にして十分な剃り味
まず手に取ったのは、手のひらに収まるほどコンパクトな電動シェーバー「S200」だ。フローティングデュアルヘッドを搭載し、IPX7等級の防水性能を備える。 USB Type-Cで充電でき、約60分の連続使用が可能というスペックは、現代のガジェットとして抜かりがない。


確かな切削力と、割り切りの美学
その小さな筐体から想像するよりも、モーターは驚くほどパワフルに駆動する。肌の上を滑らせれば、ジョリジョリという心地よい音とともにヒゲが剃れていく。その仕事ぶりは、「伸びているヒゲを整える」レベルにとどまらず、産毛まで含めて肌をツルツルに仕上げることを目指しているのがわかる。
比較するべきではないかもしれないが、筆者が普段愛用するブラウンのハイエンドモデル「シリーズ9」のような、深剃りには一歩及ばない。一度で剃りきれず、わずかな剃り残しを感じる場面は確かにある。だが、この製品の価値はそこにはない。その真価は、むしろで外出先でこそ発揮されるだろう。
特筆すべきはその質感だ。ずっしりとした重量感は、決して安っぽさを感じさせない。プラスチックの筐体ではあるもののソリッドな塊感があり、所有欲を少なからず満たしてくれる。
限定的な用途で輝く「保険」という選択肢
問題点を挙げるとすれば、その携帯性のコンセプトと付属品のミスマッチだ。本体がすっぽりと収まるジッパー付きの専用ケースが付属するが、ここに充電ケーブルを収納するスペースは一切ない。これでは、長期の旅行に持ち出す際に結局ケーブルは別の場所に収納せねばならず、スマートさに欠ける。個人的には、本体しか入らないのであればケースよりもシンプルな保護キャップを付属させるべきだったのではないか、と感じた。


結論として、これを日常使いのメイン機に据えるのは難しいかもしれない。しかし、出張先での急な会食や、泊まりがけの外出でヒゲの剃り忘れに気づいたとき。そんな不意の事態に備える「保険」として、バッグの片隅に忍ばせておくという選択肢は、極めて「アリ」だ。S200は、あくまでトラベル用途や緊急時に特化した、割り切りの美学が垣間見える一台であると感じた。
Xiaomi 鼻毛カッター:平凡さの壁を越えられなかった、ミニマルの功罪
続いては、電動鼻毛カッターだ。こちらもシェーバー同様のXiaomiデザインで貫かれている。小型のブレードヘッドが内部に隠されており、安全性を確保しているという。
しかし、シェーバーを触った後では、その印象は大きく異なる。持った瞬間に思わず「軽っ」と声が漏れるほどの軽量設計。シェーバーと同じマットな塗装が施されているにもかかわらず、その軽さが故に中身の詰まっていないかのような感覚が、プロダクトとしての安っぽさを際立たせてしまっているのだ。円柱形のシンプルな造形も、その印象に拍車をかけている。テーブルに横倒しにすれば、いとも簡単に転がって明後日の方向へ旅立つ始末だ。


スマートなギミックが内包する、不便さのジレンマ
機能面では、至って普通の電動鼻毛カッター。この一言に尽きる。他社製品との明確な差別化点は、マグネットで着脱するキャップだろう。カチリと心地よく装着できるギミックは、確かにスマートだ。
だが、このキャップは外した後の置き場所に困る。本体の後ろに取り付けるといった機構はないため、使用中はテーブルに置くほかない。これは、いつの間にか紛失してしまう可能性が大いにあることを示唆している。このギミックは、洗練されていると同時に、利便性の観点からは「諸刃の剣」と言えるだろう。
シェーバーがそのコンパクトさで性能のトレードオフを補い、明確な価値を提示していたのに対し、この鼻毛カッターは「ごく普通」という評価の域を出ない。ミニマルなデザインを追求した結果、プロダクトとしての存在感や愛着まで削ぎ落としてしまった感は否めない。
結論:Xiaomiの身だしなみ戦略は、まだ始まったばかり
今回レビューした2製品は、Xiaomiのグルーミング市場における立ち位置を明確に示している。
「Xiaomi 電動シェーバー S200」は、”メイン機は別にある”ことを前提とした、極めて優れた「サブ機」だ。その割り切ったコンセプトは、多くのビジネスパーソンやトラベラーに歓迎されるポテンシャルを秘めていると強く感じた。
一方で、「Xiaomi 鼻毛カッター」は、凡庸さの壁を越えられなかった。デザインのミニマルさが、かえってプロダクトとしての魅力を損なってしまっているという、本末転倒。USB-Cで充電できるところやXiaomiの製品ということ以外にこの商品を買うべき理由は見当たらない結果となった。
とはいえ、これはXiaomiにとっての始まりに過ぎない。中国で築き上げているXiaomiの巨大なエコシステムが、今後日本のグルーミングというパーソナルな領域をどのようにXiaomi色に染めていくのか。その次なる一手から、目が離せない。
今回紹介した製品




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