UGREEN NexodeX 160Wレビュー:“最強”だが、“最高”の充電器ではない

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160Wの高出力とコンパクトなデザインを両立したUGREEN NexodeX 160W。MacBook Pro 16インチなどの高出力機器も短時間で効率よく充電可能だ。

一方で、発熱や複数ポート使用時の電力制御に課題があり、長時間使用時には注意が必要。また、製品パッケージに品質管理面での改善が求められる。“最強”の性能を持ちながらも、細部までこだわる“最高”の製品を求めるユーザーにはやや課題を感じる。

Raru

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目次

前回のおさらい

パソコン素人による【14インチ MacBook Pro (M3)レビュー】#あおとのスマホ選び

【CMF Phone 1 】見た目を楽しむだけのスマホ。実用性はあと一歩。

コンパクトながら160Wの高出力という魅力

今回レビューしていくUGREEN NexodeX 160W充電器は、その名の通り最大160Wの総出力を誇るが、見た目は驚くほどコンパクトで、カバンの中にも簡単に収まるサイズ感である。USB-Cポートを3つとUSB-Aポートを1つ搭載し、合計4台のデバイスを同時に充電できる点が特に優れている。

この仕様は、1台でスマートフォンタブレットノートパソコンといった複数のデバイスを効率的に充電したいユーザーにとって理想的なものである。

特に、MacBook Pro 16インチなどの高出力を必要とする機器に対しては140Wの単ポート出力を実現するため、純正アダプタと遜色ない充電速度を提供可能である。

この160Wという性能は、ビジネスシーンや旅行中など、短時間で効率的に充電したい際に大いに役立つ。複数の充電器を持ち歩く必要がなくなるため、荷物を減らすことができ、バッグの中にはUGREEN NexodeX 160Wが1台あれば安心だ。

使用
ポート数
Type-C 1Type-C 2Type-C 3Type-A合計出力
1ポート140W140W
100W100W
30W30W
22.5W22.5W
2ポート100W60W160W
100W30W130W
100W22.5W122.5W
100W30W130W
100W22.5W122.5W
5V3A15W
3ポート65W65W30W160W
65W65W22.5W152.5W
100W5V3A115W
100W5V3A115W
4ポート65W65W5V3A115W

放熱性能と制御機能が求められる課題

しかし、NexodeX 160Wには、優れた出力性能に比例する形でいくつかの課題が存在する。まずは『発熱』の問題である。高出力充電中においては、本体がかなり熱を持ち、手で持てるギリギリのレベルまで温度が上昇してしまう。特に夏場や気温の高い環境において、長時間の使用に際して注意が必要である。

さらに、ケーブルを接続した状態のままにした場合、接続するデバイスに応じた電力の制御に課題が見られることもある。この製品に限らず、UGREENの複数製品で同様の症状を確認できた。

例えば、スマートフォンやノートパソコンなど複数のデバイスを同時に充電している際、電力を必要とする機器に正しく電力が供給されず、接続されたデバイスごとに適切な充電速度が出ないことがある。この点は、充電器が複数デバイスの利用を考慮した制御機能を持ち合わせていない場合に発生しやすく、複数ポート使用時に電力が効率的に分配される設計が求められる部分だ。

競合との比較:一歩先を行くか、それとも…

UGREEN NexodeX 160Wは、そのコンパクトなサイズと強力な出力性能を併せ持つため、他社の充電器と比較しても十分に競争力がある。

『Anker』『RAVPower』といった競合製品も高出力モデルを展開しているが、140Wという単ポートでの出力を実現しつつこのサイズを保つ点で、NexodeXは一歩先を行く製品と言えるだろう。

一方で、発熱と制御機能における課題があるため、高温環境での長時間使用や接続するデバイスの数が多い場合には注意が必要である。

品質管理面での不安

また、本製品にはやや気になる品質管理面の課題もあった。特に、NexodeX 160W充電器が入っていた箱の中に付属していた紙スリーブのタブ部分がシワシワに折れており、製品の丁寧さや完成度に少し不安を感じさせた。

UGREENの製品は高い技術力を誇っているものの、こういった小さな部分の仕上げが製品の品質に関わるのは勿論のこと、今後のブランドイメージに影響する可能性がある。

充電器の機能や性能とは無関係であるが、ユーザーが開封時に最初に触れるパッケージングや付属品の状態には、もう少し配慮が欲しいところである。UGREENには、技術面だけでなく、製品を受け取ったときの印象を大切にし、全体としての完成度を高める姿勢が求められる。

GaN技術とは:高性能化と小型化の要

NexodeX 160W充電器のような高出力とコンパクトさを両立できた背景には、「GaN(窒化ガリウム)」技術が深く関わっている。GaNは、従来のシリコンと比較して電気抵抗が少なく、電力変換効率が優れているため、小型でありながらも大出力の電子機器に利用されている。

例えば、シリコン製の充電器に比べ、GaNを採用した充電器は電力のロスを抑えられ、結果として発熱が少なくなるほか、同じ出力でありながらも大幅な小型化が可能となる。

UGREEN NexodeX 160Wも、この「GaN技術」を採用することで、コンパクトながらも160Wという高出力を実現している。しかし、GaNの優れた特性をもってしても、特に高出力を要するシーンでの発熱問題は依然として課題であり、冷却設計や放熱技術の更なる改良が期待される。

とはいえ、GaN技術によって可能となったこの充電器の性能は、充電器市場全体の中でも先進的であり、今後の技術発展の可能性を感じさせるものである。

PHOTOGRAPH: AMAZON.CO.JP

総評

UGREEN Nexode X 160Wは、160Wの高出力とコンパクトさを兼ね備え、特に出張や移動が多いユーザーにとって頼りになるパートナーだ。

MacBook Pro 16インチのような高出力を要するデバイスに対しても、純正充電器に劣らないパフォーマンスを発揮でき、複数のデバイスを同時に効率良く充電したいユーザーには非常に適している。また、GaN(窒化ガリウム)技術の採用により、シリコン製の充電器では成しえない高出力と小型化を実現しており、充電器市場での最先端の技術が盛り込まれている点も魅力的だ。

しかし、これだけの高出力を持つ一方で、発熱問題や複数ポート利用時の電力制御の面ではまだまだ改善の余地がある。また、付属品の紙スリーブのタブ部分がシワシワになっていたことからも、品質管理への更なる配慮が望まれる。技術面での優れた性能だけでなく、細部のクオリティを含めた全体の完成度もまた、製品に対する信頼感を左右する要因となるため、UGREENにはより一層の改良と配慮を期待したいところだ。

総合的に見れば、Nexode X 160Wは“最強”ではあるが、細部まで“最高”を求めるユーザーにはまだ一歩の進化が必要だと言える。しかし、他のGaN充電器と比較しても、そのコンパクトさと高出力性能は間違いなく市場で目を引く存在であり、パワーユーザーにとって有力な選択肢であることには変わりない。

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